GoogleとEpic Gamesが和解、5年越しの独禁法訴訟に終止符　Playストアの手数料体系も変更

GoogleとEpic Gamesが和解、5年越しの独禁法訴訟に終止符　Playストアの手数料体系も変更

米Googleと『フォートナイト』の開発元Epic Gamesは、11月5日（現地時間）、Androidアプリストアをめぐる5年にわたる独占禁止法訴訟で和解案に達したことを明らかにしました。
この合意により、GoogleはAndroidプラットフォームにおけるアプリ配信と決済システムの仕組みを大幅に見直し、開発者にとってより自由で公平な環境を整える方針です。

5年越しの「Epic vs Google」独禁法訴訟が終結へ

両社の対立は、Epic GamesがGoogleのアプリストア「Google Play」がAndroid端末でのアプリ配信と収益化を独占していると主張したことから始まりました。
Epicは、開発者がGoogleの決済システム「Play Billing」を強制され、高額な手数料を支払わざるを得ない状況を不当と指摘。これに対しGoogleは独占を否定しつつも、Androidエコシステムの透明性を改善する姿勢を見せていました。

2023年12月には、米連邦裁判所の陪審がGoogleに対して「違法な独占状態にある」と判断し、今回の和解案につながる大きなきっかけとなりました。

「登録アプリストア」制度を導入、代替決済の選択肢も拡大

今回の和解により、GoogleはAndroidに「登録済みアプリストア」制度を導入することに同意しました。
この制度では、サードパーティ企業がGoogleに登録を行うことで、独自のアプリストアをAndroid端末上に公式に展開できるようになります。
さらに、ユーザーがこれらのストアからWeb経由でシームレスにアプリをインストールできるよう、将来的にAndroid OSにも変更が加えられる予定です。

この「登録アプリストア」制度は米国だけでなくグローバルにも適用され、既存のPlayストアとの公平な競争を促進するとみられています。

手数料上限は9％または20％　決済方法の自由化も進む

Googleはアプリ内課金に関する手数料の上限を引き下げ、取引の種類やアプリの配信形態に応じて9％または20％に設定することを発表しました。
また、開発者はGoogle Play Billing以外の代替決済オプションや、外部Webサイトへのリンクを介した支払いも提供できるようになります。

これにより、アプリ開発者はより柔軟な価格設定や独自の特典をユーザーに提示でき、Google以外のエコシステムでも競争力を発揮できるようになる見通しです。

両社トップがコメント「Androidを本来のオープンな姿へ」

GoogleのAndroid担当社長 サミール・サマット氏はX（旧Twitter）で、
「今回の提案は、開発者により多くの選択肢と柔軟性を与え、手数料を削減し、健全な競争を促すことを目的としている」とコメントしました。

Exciting news! Together with Epic Games we have filed a proposed set of changes to Android and Google Play that focus on expanding developer choice and flexibility, lowering fees, and encouraging more competition all while keeping users safe. If approved, this would resolve our…

— Sameer Samat (@ssamat) November 5, 2025

一方、Epic GamesのCEO ティム・スウィーニー氏は、
「この和解案は、Androidを本来の“オープンなプラットフォーム”として再構築するものだ。Appleの閉鎖的なモデルとは対照的な包括的解決策だ」と述べ、開発者とユーザー双方にとって大きな前進だと評価しています。

Google has made an awesome proposal, subject to court approval, to open up Android in the US Epic v Google case and settle our disputes. It genuinely doubles down on Android's original vision as an open platform to streamline competing store installs globally, reduce service fees… https://t.co/Q6E4XE3ych

— Tim Sweeney (@TimSweeneyEpic) November 5, 2025

『フォートナイト』にも影響か — Androidでの配信がさらに容易に？

今回の新制度により、Epic Gamesが運営する「Epic Games Store」をはじめ、他社製のアプリストアも正式な形でAndroid上に展開できるようになります。
その結果、『フォートナイト』などEpic製タイトルが、今後より自由な形でAndroid端末上で配信・プレイ可能になる可能性が高まっています。

今後は裁判所の承認待ち

なお、この和解案が正式に発効するためには、裁判所の承認が必要です。
両社は11月6日に裁判官とさらなる議論を行う予定で、裁判所が恒久的な差止命令の修正を承認すれば、5年に及ぶ法廷闘争はついに幕を下ろすことになります。